歯周病の恐ろしさ
歯周病の影響は、お口の中だけに留まらないことが研究により分かっています。
いくつかの全身疾患との関連性についてご紹介いたします。
- 脳梗塞、心筋梗塞
- 歯周病菌由来の動脈硬化を誘導する物質が、全身の血管内にプラーク(粥状の沈着物)を形成することで、血管が細くなり梗塞が起こりやすくなることが分かっています。
- 低出生体重児
- 妊娠に対する喫煙やアルコールのリスクは有名ですが、妊婦が歯周病に罹患している場合には、喫煙やアルコールと比べて約7倍、低出生体重児のリスクが高いことが研究結果から分かっています。
- 認知症
- 認知症に関連するタンパク「アミロイドβ」は歯周病菌によって生成が促進されることが研究結果から判明しています。反対に言うと、歯周病をコントロールすることで、認知症の悪化や進行を予防することにもつながるということです。

このほかにも、歯周病は誤嚥性肺炎や、糖尿病の悪化、骨粗しょう症との関連性が判明している全身疾患に悪影響を与える因子の1つです。お身体全体の健康を維持するためにも、歯周病を治療し予防することが大切です。
歯周病ってなに?どうなるの?
歯周病、またの名は歯槽膿漏ですが、歯自身が悪くなるのではなく、文字通り歯の周りの歯茎や歯を支えている骨が悪くなる病気です。具体的には歯肉から出血や腫れたり、歯がグラグラします。
大事な歯をなくしてしまう病気は、むし歯と歯周病がほとんどです。むし歯はしみたり痛んだりするので歯が悪いということがわかりやすいのですが、歯周病はひどくならないと病気にかかっていることがわかりにくい病気なのです。いわゆる「silent desease」と呼ばれています。
歯周病は、自覚症状が少ない病気ですが、
- 歯がグラグラする
- 歯肉が腫れる
- 歯肉から出血する
- 口臭が気になる
などの症状があれば、すぐに医師の診断を受けることをお勧めいたします。
どうして歯周病になるの?
歯周病は歯に付着しているプラークや歯石に存在する細菌に感染して起こります。プラーク1mgのなかに1億個の微生物がいるといわれております。歯周病はそのなかの歯周病菌がひきおこす病気なのです。
また、噛み合わせが悪い場合や喫煙、糖尿病などの全身的な問題がある場合も歯周病が悪化しやすくなります。

歯周病の治療方法
歯周病治療の前に、まず検査を行います。その上で歯周病となっている原因を明らかにし除去していく治療方法が基本となります。 まず初診に来られた際には、歯周ポケットの深さ、歯垢(プラーク)の付着状態、歯槽の骨の吸収、歯肉炎などの症状、咬み合あわせなどを診査します。 その診査をもとにして、治療方針を具体的にお話し、理解と同意の上で治療を行っていきます。
歯周病がひどい症状の時は
歯周病がひどい症状の場合は、従来歯周病の際に行っているスケーリング、ルートプレーニングだけでは歯石を取り除くことが不可能になってきます。
このような場合に、歯肉を外側に開き、歯根を露出させ、細かい部分まで歯石を取り除くことが必要になります。
そのときに行うのが歯周外科となります。
歯周外科の治療において、代表的なものがフラップ手術です。 また、破壊された歯槽骨や歯周組織を再生する方法として歯周再生療法があります。
治療方法はエムドゲイン療法、GBR法などが代表的です。
フラップ手術のときに歯周組織を再生させたい時は自家骨、人工骨の填入やエムドゲインの注入、骨の回復をより進展させるためにメンブレンという膜を使用したり現在、いろいろな方法が確立されています。
歯周組織再生療法はインプラントを使ったり、骨の厚みが少ない場合に骨量を増やす時応用されて選択されることもあります。
※歯周組織再生療法は、保険診療でない部分が多くほとんどが自費診療になります。
- 再生療法
- 下の奥歯が歯茎が下がり、冷たいものがしみるということで来院されました。粘膜移植を行いブラッシングがしやすくしみることもなくなりました。

- 骨の再生
- 右下の奥歯が歯周病で骨が減っています。
エムドゲインと人工骨を用いることで、骨の再生が可能となります。

歯周病治療の進め方
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- 01検査・応急処置
- まず検査を行い、必要な場合に行います。歯肉が腫れている場合の切開、排膿、かみ合わせの調整、投薬などです。

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- 02プラーク・
コントロール - プラーク除去の大切さをお話し、患者さんのプラーク・コントロールの現状や、口腔内の状況を把握し、患者さんに合ったプラーク・コントロール法を指導します。

- 02プラーク・
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- 03スケーリング
- 歯肉縁上の歯石を除去します。

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- 04再評価検査
- 一回目の再評価検査時に良好な結果が得られなかった部位の改善状況を確認します。予測した結果が得られないときは、歯周外科手術を行います。
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- 05スケーリング・ルートプレーニング
(SRP) - 局所麻酔を行い、歯肉縁下の歯石を除去します。プラークや歯石によって汚染された病的なセメント質を除去して、歯根の表面を滑沢に仕上げます。

- 05スケーリング・ルートプレーニング
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- 06再評価検査
- 一回目の再評価検査時に良好な結果が得られなかった部位の改善状況を確認します。予測した結果が得られないときは、歯周外科手術を行います。
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- 07歯周外科処置
(再生療法) - これまでの治療で治りきらなかった部位に対し歯周外科手術を行います。病気の原因が目で確かめられるよう、歯肉を切って歯槽骨からはがし、根の先の方や、根と根の間にこびりついて取れなかった歯石を除去し、滑沢にします。つまり、悪いところを直接目で見て徹底的に取り除くのです。
歯周外科手術はこの他にもさまざまな術式があり、症状に応じて使い分けられます。
- 07歯周外科処置
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- 08メインテナンス
- 歯周病は治療が終わってからが肝心です。せっかく、健康を取り戻したのですから、この状態を維持していくことが大切です。
毎日のブラッシングと規則正しい生活、歯科医院による定期検診が必要です。お口の健康をいつまでも保ちましょう。
よくある質問
時々歯肉から血が出るくらいなのですが、見てもらった方がいいですか?
歯周病は、サイレントディジーズと呼ばれる初期には症状に乏しいことが特徴です。気が付いた時には、歯周病が進行している可能性もあります。
歯磨き時の出血が気になるといった自覚症状がある場合には、ぜひお早めにご相談ください。歯周病の場合には適切な治療を、また歯周病の前段階である歯肉炎の場合には、予防として適切なケアをご提案いたします。
歯周病に良い歯磨きの仕方はあるのですか?
歯周病対策に限らず、ブラッシングは簡単なようでとても難しいものです。
また、毎日の習慣であるからこそ、自己流になり磨き残しが起こりやすい箇所が発生します。
特に歯周病対策としては、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に45度の角度で当てて、歯を1本ずつ丁寧に磨くことがおすすめです。
患者様それぞれのお口の状態により、歯並びや、詰め物、被せ物の位置など異なるため、適したブラッシング方法をご提案いたしますので、一度ブラッシング指導を受けることをお勧めいたします。歯間ブラシや、デンタルフロスの使い方など効果的な磨き方をお伝えいたします。
定期的に歯科医院に行かないと再発しますか?
歯周病は、歯周病治療が終わった後、再発を防止するためのメインテナンスが重要な病気です。
せっかく、治療により状態が安定し口腔環境が改善しても、セルフケアの効率の低下や、プロフェッショナルケアを受ける間隔があいてしまい歯石が蓄積したままになるなど、歯周病が再発するリスクが想定されます。定期健診を兼ねた通院は、2~3か月に一度をお勧めしています。
お仕事や学校の都合でお忙しいと思いますが、お口の健康のため、メインテナンスを継続することをお勧めいたします。
何歳ぐらいから気をつけた方が良いですか?
歯を喪失する原因は、虫歯ではなく歯周病が第一位です。
政府統計によると、歯肉に何らかの所見を有する人は30代では3人に2人が該当します。所見を有する人の全てが歯周病と言う訳ではありませんが、歯周病は若いころから注意が必要であると言えます。
お口の健康は、患者様それぞれで状態が異なるため、一般的に何歳から歯周病になりやすいという明確な基準はありません。若いうちから、セルフケアとプロフェッショナルケアを併用した歯周病予防に関する習慣を身に着けることが大切です。
歯周病予防をしたいけど何から行ったらいいかわからない、歯肉に悩みがあるという方は、ぜひお気軽に当院にご相談ください。


